大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和38年(ツ)113号 判決

地代家賃統制令は地代、家賃等の値上りを抑制することを目的とし、土地、建物等の使用自体を禁止するものではないから、同令の適用を受ける家屋又はその部分についての賃貸借契約の当事者が、同令に違反して賃料の約定をなした場合には、統制額を超える賃料の支払を約した部分のみが無効となり、約定賃料額を統制額に引き直した賃貸借契約としての効力を保持するものと解するを相当とする。一般的には家屋の賃貸借契約における賃料額が契約の重要部分に属することは所論のとおりである。しかし、地代家賃統制令の適用を受ける家屋の賃貸借契約において統制額を超える賃料の支払を約することは、強行法規である同令の禁止するところであり、上記のように右契約は統制賃料額の範囲においてその効力を保持することとなり、その限度では当事者の意思は排除されることになるのである。従つて、賃貸人としては約定の賃料額においてのみ契約を成立せしめる意思であつたとしでも、かかる意思は法の保護しないところであるから、契約の要素に錯誤があるものとして賃貸借契約が全部無効であると主張することは法律的には許されないものと解しなければならない。

(村松 伊藤 杉山)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!